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高森明勅
2015.12.30 07:58

慰安婦問題、「最終的かつ不可逆的な」敗北

慰安婦問題をめぐる日韓合意。

これは、日本側の「最終的かつ不可逆的な」敗北だった、
と言うべきではないか。

何故なら、慰安婦問題とは何より「歴史認識」の問題だからだ。

我々の父祖を永遠に貶めるか、それともその名誉を回復するか。

それが問題の本質。

事実として恥ずべき行いをしていたのなら、やむを得ない。

だが、そうではない。

にも拘らず、かねて河野談話の継承を明言してきた安倍政権が、
改めて「
軍の関与」「政府の責任」「反省とお詫び」を表明すれば、
国際社会にどう受け止められるか。

あまりにも明らか。

いや、軍の関与といっても、実は女性を劣悪な条件の下に置かない
為に…
などと言い訳をしても、今さら誰が聞く耳を持つか。

一旦、自らの悪行を認めながら、それを後から覆そうとする、
不誠実で卑怯な態度としか思われないだろう。

河野談話の撤回を期待された安倍政権だったはず。

撤回どころか、より悪い形で「最終的かつ不可逆的」に
固定化してしまった。

何という愚劣さ。

安倍政権の“奥の手”は、「負ければ解決!」という奇策だった。

今後もこの手が多用されるのか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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